特定の分割図におけるラーフとケートゥのコンジャンクジョン

      2018/06/24

インド占星術では、分割図作成のルールに従ってホロスコープを作ると、以下の特定のものでラーフとケートゥが同一の部屋・星座に入りコンジャンクトする。

分割図の名前 分割図 表示される物事・事象
ホーラ D-2 富とお金
シャシュタムシャ D-6 健康のトラブル
アシュタムシャ D-8 突発的なトラブル、訴訟など
ショダシャムシャ D-16 車、喜び、快適さ
ヴィムシャムシャ D-20 宗教活動や霊的な事柄
シッダムシャ
(チャトルヴィンシャムシャ)
D-24 教育、学習と知識
トリムシャムシャ D-30 悪と罰、潜在意識の自己
カヴェダムシャ D-40 縁起の良い/悪いイベント
アクシャヴェダムシャ D-45 すべての事項

(参考サイト:インド占星術. com ブログ

この現象に対し、大きく2つの考え方がある。

(1) 分割図でもラーフ・ケートゥを必ず軸にして作図する。(ラーフを基準にし、対面7室目にケートゥを配置させる)

(2) 分割図の計算ルール通りに、ラーフとケートゥを同室に配置させる

今から10年ほど前に盛り上がった話題ではあるが、改めて以下、自分の意見・見方を書く。

3行でまとめ

・どちらの考えにも一定の言い分がある
・迷ったときは自分の先生が教える方に従えばよい
・自分の考えを持つことが大切



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お互いの言い分

(1) 分割図でもRa / Keは常に軸扱いだよ!

意見

・KNラオ先生が著作「An Astrologer's Dips, Into Divinitiy, Astrology & History」の中で「Vimshmansha, Put Ketu in the 7th from Rahu」と書いている
(参考:ラオ先生著のD-20ホロスコープ実例記事

・ラオ先生のお弟子さんたちの書いてる本の中で今までラーフとケートゥがコンジャンクトしてる分割図を見たことがない(ラオ先生の占星術学校で長年勉強されてきた清水俊介氏もD-24をラーフ・ケートゥ軸扱いで判断している)。
よってラオ先生の流派はケートゥを移動することで統一されているようだし、ラオ先生の流派に沿うならそちらに従うべきだ

・ラーフとケートゥは神話では、ヴィシュヌ神に分断された竜とされている。だから、この2つがコンジャンクトするのは(例え分割図でも)神話の成り立ちに背き、受け入れがたい

・ラーフとケートゥがコンジャンクトした際の占術を示した古典はない(はず)

反論

・天文学的にはラーフは月の昇交点、ケートゥは月の降交点であり、それ以上でもそれ以下でもない

・そもそもラーフとケートゥをそこまで特別視する根拠に乏しい

・伝統的なホーラ(D-2)は、全ての惑星をかに座としし座の2つに配置するが、ケートゥだけは例外だという解釈は見たことがない
(とはいえ、D-2の計算方法を考えるとこの反論は無意味ではある)

清水俊介氏が全面サポートしているJyotish-ONEが出力するホロスコープは、分割図においてRa / Keが同室する仕様になっている
(そういう描写プログラムになっていないだけなので、この反論はほぼ意味なし)

(2) 分割図の計算ルール通りにRa / Keを同居させるよ!

意見

・古典にはラーフとケートゥがコンジャンクトした際の占い方を示していない一方で、分割図の計算の方法は言及されており、その計算結果としてRa / Keは同居する(してしまう)。その計算過程においてRa / Keを例外的に常に軸扱いせよとの記述はない(少なくとも自分は知らない)

・実際の天文学的な存在事象に基づき、Ra / Keをそれぞれ独立した2つの感受点(ノード)として実際に存在する惑星と機械的に同列に扱うのは一定の合理性がある

・神話ではなく、実在の天体上の概念(月の昇交点 / 降交点)としての側面を重視するのは、よりサイエンス的なアプローチである

反論

・分割図でラーフとケートゥがコンジャンクトした際の占星術的な解釈など思い浮かばないし受け入れられない

・分割図でもRa / Ke を軸にしたほうがしっくりくるしD-1と同様の感覚で読める

・神話に基づく解釈を尊重していない。ラーフはケートゥの影のような存在である

迷ったらどうする?

まずは自分が従う先生の流派に従えば大丈夫。先生がRa / Keは分割図でも軸だよと言えばそれで読む。計算通りにRa / Keを同居させて読むと教えられればそれで読んでリーディングの勉強を続ける。

で、そこから先は自分で考える。

流派のドグマに囚われすぎないこと。流派は流派で重んじるが、自分は自分。もちろん、師や先人の教えや語り継がれてきた財産は尊重しなければならない。

しかしながら、先生や先人の言っていることが全て正しいとは限らない。

その教えが自分なりに納得でき、わだかまりなくリーディングできればそれで良い。もしそうでなければ、先生と建設的な議論をしたうえで解釈を調整する必要が生じる。

議論のさい、もし先生が頭ごなしに否定したり自分の考えを執拗に押し付けてきた場合、その人とは早めに別れたほうがよい。それはサイエンスの側面を持つインド占星術を志す科学者の態度ではない。

自分もこのような態度が出ないよう、「なぜその考え方に至ったのか」という相手の意見を傾聴するよう心掛けている。

影の惑星であるラーフとケートゥは現在もなお象意や扱い方が研究され続けており、その計算方式もトゥルー・ノード(True node)とミーン・ノード(Mean node)の2種類がある。

両者の違いで分割図の配置差が出ることもしばしばで、そうなるとリーディングの解釈にもズレが生じる(在住室の変化で特に厄介なのがD-9、D-1とペアで使うため)。

そのような、概念としては存在するがあやふやかつ不確実なものなので、仙人・聖者なら別かもしれないが、これが確かだということは誰にも言えない。

自分で考える材料(著名人のD-24)

(A) アルバート・アインシュタイン

Name: Albert Einstein
Date: 1879/3/14
Time: 11:30 AM
Place: Ulm, Germany (10E0, 48N24 / LMT, GMT+0:40)
Occupation: Theoretical physicist
Sex: Male

D-24 (Parasara's traditional, true node) / D-24 (Parasara's traditional, mean node)
D-24 (Even sign reversal, true node) / D-24 (Even sign reversal, mean node)

(B) ビル・ゲイツ

Name: Bill Gates
Date: 1955/10/28
Time: 9:21:30 PM
Place: Seattle, United States (122W19, 47N36 / GMT-8:00)
Occupation: Business magnate, Principal founder of Microsoft Corporation
Sex: Male

D-24 (Parasara's traditional, true node) / D-24 (Parasara's traditional, mean node)
D-24 (Even sign reversal, true node) / D-24 (Even sign reversal, mean node)

(C) バラク・オバマ

Name: Barack Obama
Date: 1961/8/4
Time: 7:24:20 PM
Place: Honolulu, United States (157W51, 21N18 / GMT-10:00)
Occupation: 44th President of the United States
Sex: Male

D-24 (Parasara's traditional, true node) / D-24 (Parasara's traditional, mean node)
D-24 (Even sign reversal, true node) / D-24 (Even sign reversal, mean node)

補足

D-24の計算方法:
以下の順番で、1星座を24分割する。

Parasara's traditional(伝統的なパラーシャラの計算方法)

奇数の星座 → しし座(5)、おとめ座(6)、てんびん座(7)、さそり座(8)・・・、ふたご座(3)、かに座(4) | しし座(5)、おとめ座(6)、てんびん座(7)、・・・、ふたご座(3)、かに座(4)
偶数の星座 → かに座(4)、しし座(5)、おとめ座(6)、てんびん座(7)・・・、おうし座(2)、ふたご座(3) | かに座(4)、しし座(5)、おとめ座(6)、・・・、おうし座(2)、ふたご座(3)

Even sign reversal(パラーシャラの計算方法のうち、偶数の方の並びを逆にして奇数の並びと対称になるよう変更)

奇数の星座 → しし座(5)、おとめ座(6)、てんびん座(7)、さそり座(8)・・・、ふたご座(3)、かに座(4) | しし座(5)、おとめ座(6)、てんびん座(7)、・・・、ふたご座(3)、かに座(4)
偶数の星座 → かに座(4)、ふたご座(3)、おうし座(2)、おひつじ座(1)・・・、おとめ座(6)、しし座(5) | かに座(4)、ふたご座(3)、おうし座(2)、・・・、おとめ座(6)、しし座(5)


参考文献:Correct Siddhamsa Chart of Pararsara - PVR Narasimha Rao

Jagannatha Hora作者のP.V.R. Narasimha Rao氏のアーティクル)

終わりに

どんな職業でも、大人になるとみんな頑固になるのは変わらないですね。
それが教条や信念に関わるものならなおさらです。

 - 分割図